コミュニティサイト/SNSの立ち上げ費用は?

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「コミュニティサイト 立ち上げ費用」といったキーワードで当ブログにアクセスいただいている方がいらっしゃるようですが、まったく目的を満たせないエントリーにたどりついているようでして、せっかくなので、触れておきます。

さて、一口にコミュニティサイト、SNSといっても様々な要件があると思いますので、ピンキリです。

と言ってしまうといきなり終わってしまいますね^^;

まず、一番ニーズが大きいのは、フルスクラッチでの構築でしょう。フルスクラッチというのは、お客さんのニーズに合わせて、全てを1から製造する開発方法のことです。全てを一から作りますので、これが一番予算がかかります。

たとえば、mixiの初期の頃の機能一式(ざっくり、会員システムと、招待、プロフィール、日記、コミュニティ、メッセージ、あしあと ぐらいでしょうか)をフルスクラッチで構築しようとすると、概算で2500~4000万といったところでしょう。今は、mixiの機能は相当拡張されていますから、全く同じものを作ろうとすると、軽く億を超える金額に跳ね上がると思います。

これに、たとえばメッセンジャーツールや、チャットなんかのリアルタイム性の高いコミュニケーション機能を入れようとすると、それだけで数百万~1000万近い見積もりがアドオンされて出てくるでしょう。

管理ツールをどこまで充実させるかも、結構、見積もりの上ブレ、下ブレ要因になります。これは後ほど少し触れます。

また、PCだけでなくモバイルにも対応したい、と言った場合は、PCの初期構築の7~8割ぐらいの予算が別途かかると思った方がいいです。機能が同じでも、開発的にはほとんど流用できる部分はありませんので、結局一からモバイル用のプログラムを書くことになります。

では、フルスクラッチでない場合はどうでしょう。良くあるパターンとしては、パッケージをベースにカスタマイズするケースですね。たとえば、OPEN PNEなどのオープンソースのものを使う事例です。

こういった場合だと、開発予算はぐんと安くなります。機能はほとんどそのまま使って、自社の会員組織とのDBのつなぎこみとデザインだけ、といったパターンであれば、1000万を切る(要件によっては500万を切る)見積もりが出てくるケースが多いのではないでしょうか。

デメリットとしては、既存の機能を無理にカスタマイズしようとしたり、新しい機能をアドオンしようとした場合に、逆に見積もりが高くなってしまったり、将来的な拡張性がなくなってしまうという点があります。

また、使うパッケージのクオリティに、最終的な成果物が左右されますので、どういうパッケージを使ってカスタマイズするのかを事前にしっかり確認すべきです。

いずれにしても、プロジェクトの性質をしっかり見極めた上で検討する必要があります。

以上のケースは、ある程度しっかりとした体制でプロジェクトを進めてくれるような企業や、上場企業の前提です。未上場企業や、たとえば個人の場合は、人月単価が大きく下がるはずですので、だいぶリーズナブルな見積もりになると思います。

単純にユーザーを囲い込む入れ物としてのコミュニティシステムがあればいい、といったパターンであれば、SO-NET SNS のような無料のものもありますが、企業がコミュニティサイトやSNSを構築するといった場合に使えるケースはほとんどないでしょう。

他のパターン、たとえば社内のイントラとして使いたいといったケースですと、社内SNSといったジャンルでASPで、初期数十万、月額数万円といった価格から利用できるものがあります。

さて、以上が初期開発を外注したときの費用です。

しかし、それ以外に、初年度の予算としては、プロモーションや運営といったところの予算が必要になります。

プロモはまさしくピンキリでしょうね。リスティングのみでコツコツやるパターンもあれば、月に数百、数千万といった予算をかけてプロモ計画を立てられる企業さんもいらっしゃいます。

これまでの経験では、プロジェクトとして、速やかな成長を義務図けられている場合を除いて、プロモ予算は必要最小限にとどめておくべきです(ほとんどは、義務付けられてしまっているのでしょうが……)。

コミュニティサービスの初動は、まずコアとなるユーザーを作り、サービスの方向性を固めることが重要ですから、それがない状態で、急激に人を入れてもなかなかうまくいきません。ユーザーも混乱するし、サービス提供側も、核を見失う結果になることが多いように思います。

逆に、僕も含めて、僕の周りで良いコミュニティを運営されている方は、3~5年といった数年スパンでの長い期間をかけて、コツコツ成長させている方が多いように思います。

もちろん、ユーザーのニーズが明確に見えていて、サービスとして提供されるものも、その核となるニーズに限定されているようなケースでは、初年度から大規模なプロモで成功するケースもあります。ですが、社内にネットコミュニティサービスの運営ノウハウがない状態だと厳しいでしょうね。ノウハウがある場合は、「コミュニティサイト 立ち上げ費用」といったキーワードで検索することもないでしょうし^^;

ちなみに、あなたのプロジェクトが、事業計画として初年度からの収益化を目指しているのであれば、そもそもコミュニティやSNSといった枠組みで考えること自体に、疑問を抱くべきかもしれません。本業があり、それをフォローするためのツールとして考えるのであれば、それは実に良いことだと思いますが、コミュニティ単体で、あるいは本業と連携する形であってもコミュニティそれ自身での収益化を考えているのであれば、初年度に関して言えば、かなり険しい道が待っていると考える方が自然でしょう。コミュニティ単独で、大規模な投資を行って成功した事例は、それほど多くはないです。

例外は当然ありますが、ユーザーにも、プロジェクトにも、大きな負荷がかかるのは容易に想像ができます。

なお、「コツコツ」前提で、初年度のプロモ予算を考えますと、yahoo!ビジネスエクスプレスへの審査料と、他に使うとしてもアドワーズ、リスティングに月間5~10万円といったレベルが妥当なのではないでしょうか。アドワーズ、リスティングは外出しするのではなく、ノウハウを社内にためる方が、後々強みになりますので、できる限り社内リソースを使うべきです。同じように、あとは、検索エンジン対策に注力する人材も確保しておきます。あなた自身が取り組める環境を整えるというのでもOKです。

また、運営コストも念頭に置きます。

具体的に何をするかというと、投稿監視とユーザーサポートや、ユーザーに発信する情報(お知らせや、配信システムがあるのであればメールマガジンの発行など)、サービスの利用状況の分析がメインになりますが、初年度は、まずほとんど手はかかりません(大規模なプロモを行っている場合を除き)。

たとえば、過去の事例で言うと、月2~5百万程度のプロモ予算を使っていたサービスでも、初年度は、1年経過時点でも、問い合わせが日に10件前後、日記書き込みも、日に数百件レベルでした。会員数で言うと、1年で数万名ほどになりましたが、会員数を事業計画に入れてしまっていため、とにかく数を集めればいいというプロモを行ってしまった結果、非常にアクティブ率の低い会員ばかりになってしまい、問い合わせも書き込みもそれほど増えなかったという裏話もあります。

さすがに、これはサービスとしては失敗事例ですが、コツコツ型の運営でしたら、初年度はこの程度の規模をイメージしておけば、大きくは上ブレしないと思います。よほどヒットすれば別ですが、その時はその時でうれしい悲鳴ということで。

さて、監視やサポートを外出しする場合、このレベルであれば、監視とサポート合わせて月10~30万ぐらいが相場でしょう。

ただ、初期の監視やサポートは、アドワーズ、リスティングと同じで、できる限り社内で持つべきです。

ローンチ直後のサービスは、ユーザーの動きをしっかりと把握したうえで、次のアクションを検討する必要がありますが、外出ししてしまうと、仮に定期的なレポートをもらったとしても、どうしても細かな情報は入ってきづらいですし、社内にノウハウがたまりません。外注の場合は画一的な対応に終始しますので、小さいサービスならではの、ユーザーとの近い距離感も築けないです。

仮に、あなた自身が対応するにしても、慣れれば、日に1時間もあれば対応できるレベルですので、予算を取るというよりも、あなた自身が対応できる体制を整える、あるいは、営業日に毎日3時間程度作業が可能なアルバイトを、あなたの部下として雇う方が、将来的にはよいでしょう。アルバイトなら、初期の採用に費用がかかりますが、ランニングとしては、時給1000円×3時間×20日=6万円程度ですから、ノウハウが自社にたまり、フレキシブルに対応できるというメリットも合わせて考えれば、外注するよりもはるかにいいです。

もちろん、全くノウハウのない状態で、そういった取り組みを始める場合、当初は試行錯誤が続きますし、間違った対応を行ってしまうケースもあるかと思います。しかし、それも含めて、「ユーザーと一緒に成長するサービス」というスタンスで、取り組む姿勢で望むのもいいのではないかと思います。

ただし、一点だけ例外があります。モバイルサイトの場合で、公式化を念頭に置いている場合は、365日24時間体制で不適切な書き込みに対して対応できる体制が求められることが多いようです。公式化ありきで考える場合は、社内でそういった体制を整えるのは厳しいでしょうから、初動はどうしても外注に頼らざるを得ないかもしれません。

また、初期構築の際の監視・サポートツールですが、外出しを前提とするのであれば、ある程度作り込んでおかないと、委託した際の費用の上ブレ要因になります。使いづらい監視ツールですと、委託した側も時間がかかりますから、高めの見積もりを出される原因になります。外出し前提なら、構築前から、管理ツールの仕様について、外注先と打ち合わせを持っておくべきです。

逆に社内でやる前提であれば、必要最低限にとどめておいて、後からカスタマイズしていくという形がよいでしょう。リリース時点では、最低限、投稿が全件流し読み出来て、必要に応じて削除や検索ができる。会員データも、とりあえず検索すればでてきて、編集と退会処理なんかができるといったレベルで大丈夫です。

また、会員数や投稿件数などのデータを管理画面上で見たいというニーズはあるでしょうが、ここら辺は作り込むと相当な費用がかかりますので、最低限必要なDBのデータを毎日数値をメールで配信してもらうぐらいにしておいて、PVなんかのデータは、無料のGoogle Analyticsや、Awstatsなどのサーバのミドルウェアを使う形で十分です。

と言った感じで、パターン別の初期構築と、リリース後の運営・プロモーション費用のざっくりとしたイメージをご紹介しました。


なお、本筋からそれますが、最後に一言。

文中で触れましたが、コミュニティサイトは、コツコツ育てていくのが、一番の近道です。
そういう意味では、これまでの経験的にも、スパイラル型の開発手法を取るべきと考えています。

最初から完成品を目指し、必要な機能の全てを分析してから設計するウォーターフォール型の開発手法ですと、なかなかトライアンドエラーできませんし、本当にユーザーの求めるものを提供しづらい体制が出来上がってしまいます。

少しでも社内にノウハウがあるのであれば、多少の手戻りや無駄な時間がかかったとしても、初期開発自体を社内でまかなってしまう方が良いでしょうし、あるいは、外出しするにしても、人月費用で人を抑えてもらった上で、あまり納期を意識せずに、お互いに意見を言い合いあえるような「パートナー」になれる外注業者を探すべきでしょう。

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