コミュニケーションサービスの成功要素

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「コミュニティ」

広義の意味では、サイト利用者が何かしらの言葉や痕跡を残していくというフロー、ユーザー参加型という形が存在しさえすれば、コミュニティと呼んで差し支えないだろう。レビューサイトやソーシャルブックマークサイト、ニュース記事投稿サイトなどもコミュニティの一つだ。

とはいえ、コミュニティのもっとも本質的な要素といえば、やはり「コミュニケーション」であることは間違いない。

私が愛してやまないのも、この「純粋にコミュニケーションを楽しむためのコミュニティサービス」である。広義の意味のコミュニティサービスと差別化する意味で、以下、「コミュニケーションサービス」と呼ばせていただこう。

さて、企業がコミュニティサービスを構築しようという段階で、他と差別化できる便利なツール、尖った特徴や面白い発想が必要だとか、そういう議論になることが多い。

もちろんそれは当然であり、幾多のコミュニティサービスが存在する中、何の特徴もなしにユーザーを集めることが難しいのも確かだ。

しかし、私は、それらの論理は、コミュニケーションサービスにおいて、少なくとも「マストではない」のではないかと考えている。

なぜなら、コミュニケーションサービスにおいて、ユーザーが求めるのは、「コミュニケーション」そのものだからだ。

コミュニケーションをより楽しむための要素が最重要であり、また、いかに便利な機能であっても、コミュニケーションを阻害する要素を少しでも持っているのであれば、実装しないという勇気を持つことも時には必要となってくる。

さて、この要素とは、下記のような点に集約される。

1.単純さ、簡単さ
インターネットの裾野はまだまだ広がり続けており、インターネット初心者層もさらに増加している。さらに、その初心者層も、インターネットを使い続けていれば上級者になれるかといえばそうでもなく、「永遠の初心者」であり続けるユーザーも存在する。

実際にサービスを提供する中での実感だが、「ネットでの純粋なコミュニケーション」を求める層というのは、この初心者層から脱せないユーザーの割合が、他のサービスに比べて多いように見える。

そういったターゲットを取り込むためには、便利だけど複雑な機能よりも、どういうサービスなのかが単純に分かり、簡単に利用できるサービスであることが、まず求められる要素だろう。

2.コミュニケーションする相手が常に存在する状態、他者との繋がり安さ
コミュニケーションを求めるユーザーに必要なのは、当然コミュニケーションをする相手である。ユーザーとユーザーをいかにつなげられるか、これは思った以上に重要だ。

ツールと場所だけを提供し、「はいどうぞ」では、コミュニケーションは成り立たない。ユーザー自身が、明示的に相手を求めなくても、自然に誰かと会話が始まる、いつのまにか誰かと繋がっている。サービス設計時に、そういった細かな配慮が必要だ。

3.誰にもコミュニケーションを邪魔されない環境
さて、上記2点を満たした上で、さらに必要なのがこの要素である。ここで示唆しているのは、いわゆる荒らし行為の存在だ。

せっかく誰かとつながり、コミュニケーションを行おうとした矢先に、それを邪魔されてしまってはコミュニケーションどころではない。コミュニケーションを求めているユーザーから、コミュニケーションを奪うようなものであり、サービスを利用する意義を失ってしまいかねない。

また、初心者ユーザーであればあるほど、荒し行為に直面したときに受ける影響は大きいことも理由の一つである。

コミュニティに荒し行為は必要悪であるという考え方もあるが、「コミュニケーションを求めているユーザーがコミュニケーションを邪魔される」というシチュエーションを考えれば、少なくともそこはブロックしてあげねばならないはずだ。

無論、全ての荒し行為を完全にシャットアウトすることは不可能であるが、ユーザー本人による自衛機能、ユーザー全体による自治機能、さらには運営側の監視体制、投稿削除や利用禁止における判断ロジックの統一といった要素をサービスに取り込むことで、より健全に、安心してコミュニケーションを楽しむことができる環境を用意することは可能だ。

いかに荒し行為を排除していけるかが、コミュニケーションサービスの成功のカギだと言えるだろう。

4.自分の居場所
コミュニケーションサービスとはいえ、常に新しい出会いを求め続けるユーザーは少ない。広くコミュニケーションを図っていく上で、次第に自分のコミュニティを形成していくのが通常のコミュニケーションサービスの利用フローだ。

サービスを利用する中で、自然に「自分がいるべき場所」を認識させられる仕組みを提供しなければならない。

居場所ができれば、人はそこに定住し、そこを基点に「落ち着いて、安心して」コミュニケーションを楽しむことができる。より長く楽しんでもらうためには、これが重要な要素だと言えるだろう。


1.単純さ、簡単さ
2.コミュニケーションする相手が常に存在する状態、他者との繋がり安さ
3.誰にもコミュニケーションを邪魔されない環境
4.自分の居場所

以上が、コミュニケーションサービスにとって必要な要素であるが、漠然としている点は、成功例を見てみれば分かりやすい。

たとえばmixiでは、「日記を書く」「友達の日記を読む」という単純な目的があり、グローバルメニューなども完全固定、日記を書くインターフェイスもシンプル過ぎるほどシンプルにした点で分かりやすさも満たしている。

上級者にターゲットを絞れば、自分が利用できないメニューなどは非表示してしまうことを考え勝ちだ。しかし、分かりやすさを重視し、「グローバルメニューは完全固定」「利用できないメニューをクリックした際はエラーメッセージ」という上級者にとっては不親切な設計をあえて実装しているところに、mixiの一貫した意思が見て取れる。

また、招待制というところで、他者とのつながりやすさやコミュニケーションする相手が常に存在する環境を実現した。

さらに、実名制、あるいは実名ではなくても自分の実社会の人間関係を持ち込むことによって、ある程度未然に荒し行為を防ぐことを可能にしたし、ID単位でのアクセスブロックや閲覧権限の設定などにより、ユーザー自身による自衛という要素も満たしている。

4点目に関しても、自分の友人を常にマイページ上に表示し、自分のコミュニケーション範囲、「自分の居場所」を直感的に認識させた。また、サービス内のコミュニティに参加すれば、さらに明確に居場所を意識することができる。

単純な日記サービスであるmixiが成功した一因として、このような要素も考えられるだろう。

自身のサービスにおいても、このような要素をより満たせられるよう引き続き設計して行くつもりだし、していかねばならないだろう。ネットにおけるコミュニケーションは知れば知るほど深く、そして面白い。

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