燃え尽き症候群

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先日書いた記事「義務化するコミュニケーション」にも関連する話だが、コミュニティサービスにも利用寿命というものがあるようだ。

コミュニティサービス内に「自分のコミュニティ」が形成されはじめると、毎日ログインすることが待ち遠しくなり、また、忙しくて友達に挨拶すらできない日が続けば、それだけで居たたまれない気持ちになってしまう。「マナーのよいコミュニティ」であればあるほど、次第に実生活にはない心地よさを感じ始め、擬似社会であることすら忘れがちになる。

ここで言う「マナーのよいコミュニティ」とは、悪い表現を使ってしまえば、誰もが偽善的な自分を演じている馴れ合いの世界。しかし、だからこそ、実社会よりもはるかに心地よく、わずらわしい人間関係に悩まされることもない。ある意味、私が考えるネットコミュニティの本質でもある。

しかし、そんな熱中ぶりも、やはりそう長くは続かない。コミュニケーションの義務化による疲れもあるだろうが、自分の時間の使い方に対する疑問を持ち始めることが、一つの理由であるようだ。

私がこれまで携わってきたサービスを見る限りの所感では、チャット中心、リアルタイムコミュニケーションが求められるサービスなら一ヶ月から三ヶ月、掲示板や日記などが中心、割と緩やかなコミュニケーションがメインのサービスでもだいたい半年前後で、その時期が訪れるユーザーが多い。

それはなぜなのだろうか?

コミュニティサービスで得られるのは、人との繋がりによる安心感や共有感と言える。WEB2.0という言葉が叫ばれるようになっている昨今、特に「共有」という意識に対しては、根強いニーズがあるようにも見える。

日常生活のほんの休息の場として、「ネットとの距離感」を意識して利用するのであれば、非常に有用であり、実生活への活力ともなり得る。

しかし、ひとたび近づきすぎてしまうと、その代償はあまりにも大きい。

極端な話、安心感や共有感というその場限りのせつな的な感覚を得るためだけに日々の時間を使うことは、単なる時の浪費にすぎないのではないだろうか。

もちろん、日常生活にもくだらない雑談に終始する会話や何も考えずに過ごす無駄とも思える時間は存在するが、前者は実際の人間関係構築のために必要不可欠な行為でもあり、後者は日々の疲れをリフレッシュするという意味においては有意義である。

しかしながら、コミュニティサービスにおけるそれは、多くの場合、ネット上だけの付き合いに終ることが多いものであるし、サービスの提供が中止されてしまえば、形としては何も残らない。また、何時間もパソコンに向かっていることは、肉体的にも大きな負荷をかける行為でもある。有用な情報を得るようなタイプのコミュニティであれば、また違ったことも言えるのだが、コミュニケーションを目的としたコミュニティサービスの場合、あまりにも時間を投下してしまうと、実生活に負の影響がでてしまうことは否めない。

人生という大きなくくりで考えれば、大切なのは、安心感や共有感を得た上で「どのような生活を送るか」であり、それを得ること自体が目的ではない。

もちろん「趣味に生きる」という言葉もあるが、毎日何時間も、コミュニティサービスを10年20年と継続して利用するような姿は容易には想像できないだろう。一般的な「趣味」とコミュニティサービスの利用が、本質的にどのような違いがあるのかの説明は難しいが、少なくとも、やはりバーチャル世界であることはその一端だと考えられるし、また、移り変わりの激しいインターネットサービスにおいて、10年続くサービスというのもごく少数である。

では、それに気づいたユーザーの、その後の行動はどうなるのであろうか。

一つは、コミュニティへの依存からの脱却である。

馴れ合いの人間関係に頼ることをやめ、以前の生活へと戻って行く。一度離れればなんという事のない普段の生活だ。中には再び新しいコミュニティに参加し、同じ過程をたどってしまうケースもあるが、とにかく、一度「離れる」という選択をするユーザーは多い。

そしてもう一つが、「ネットとの距離感」を意識した利用への移行だ。そこには、以前のようにあふれ出してくるような楽しさはないが、また違った楽しみが見えてくる。コミュニティと上手な付き合い方をすれば、きっと有意義な生活の糧となる。

「ネットとの距離感」

ネット初心者、コミュニティ初心者であればあるほど、意識すべき言葉であるだろうし、そして、サービス提供側も、そのような利用が誰にでも容易に想像できるサービス設計を行うべきなのかもしれない。

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