新宿という街

はじめて新宿、というか東京に来たのは確か小学校3年生の時。母と妹と東京の親戚を訪ね、東京観光に連れて行って貰ったときだった。

それこそディズニーランドとか(東京じゃないが……)、NHKかなんかの見学施設とか(記憶が定かでない)、ほとんど覚えていないけど色々回って、なぜか一番記憶に残っているのが、叔父さんが、「ここのラーメンは美味しいから」といって連れて行ってくれた新宿の熊本ラーメン「桂花」だった。今は新宿に4店舗ぐらいあったと思うけど、その時行ったのは多分新宿ふぁんてんじゃなかったかなぁ。記憶と今の店舗の感じを重ね合わせると多分そう。それが初新宿。

時は経って18歳。大学で上京し、晴れて東京都民となった。1年後埼玉県民に2年ほど変身したけども。

法政大学の市ヶ谷キャンパスだったので、サークルの歓迎会や打ち上げなんかは、ほとんどその界隈で、あまり新宿とは縁がなかった。もちろん学生時代何度も行ってはいたはずだけど、全く記憶にない。

一応、地図上は外堀を挟んで市ヶ谷町や神楽坂は新宿”区”ではあるし、新宿区側にも校舎はあってたまに授業がそっちでもあったが、あんなところは新宿とは言わない。千代田区だ!

さて、明確に記憶に残ってるのは、大学4年、コンビニバイトから別のバイトに乗り換えようとしていた時。

時給の高そうなバイトを探していたところ、バーテンダーで時給3000円という良さげな募集を見つけて応募した。最寄り駅は新宿三丁目駅。面接に行った。

募集見た時点で気づけよって話だけれど、地図を見ながら到着したお店の場所は、新宿二丁目だった……。

バックレるわけにも行かないので(真面目)、暗い階段を降り、地下にある重い扉を開け、店の中に入った。無論、いわゆる二丁目のお店だった。バーテンダーというのは、賃貸不動産屋なんかでいう釣り物件みたいなもので、結局ホールでの接客仕事を案内された。

面接では、エントリーシートに「お酒は飲めるか、タバコは吸うか、身長・体重」などを書く欄があった。猫を抱えたひげの柔和な顔をしたおじさんが隣りに座って面接が始まった(えっ、隣に座んの!?)。店で働いているキャストの写真集を開きながら、「この子はノンケ、この子はマジモン、このこは……」などと說明をしながら「君は?」と聞かれた。「えっと、ノーマルです……」とか細い声で答えた。

「今バイトいくらぐらい稼いでるの?」と聞かれたので、「……週6夜勤やって30万ぐらいです」と答えた。猫をなでながら、おじさんは笑顔で「君ならロングで指名取れそうだから、週2でそれぐらい行けるわよ」と。

これが二丁目か……。これが新宿か……。

後で気づいたのだけど、キャストの写真集、あれは風俗的な感じでお客さんが見て指名する用のものだったのだろう。

「今日時間あったら体験で働いてみる?」と聞かれ、危うくお金の魔力に負けそうになったが、何とか断り、その後は連絡もせず、僕が二丁目デビューすることはなくなった。判断誤らなくてよかった。

その後、ウェブ系バイトの面接に受かり、しばらくしてから社員の方に連れて行ってもらった新宿ゴールデン街。普通の居酒屋しか行ったことがなかったから新鮮だった。この街が転機だった。

あの小汚い飲み屋街に毎週末通うようになった。当時はまだ遠くに住んでいたので、終電を逃しては(帰る気はそもそもないが)、朝まで飲んで始発で帰るようになった。

僕が通い始めた当時、2003年位は、まだ歌舞伎町も今ほど安全ではなく、ゴールデン街も新しい世代に移行するちょっと前で、古くからのお店が幅を利かせていた。ボッタクリもよくあったので、知らない店には行かないように言われていた。実際一度ぼったくられかけた。お客さんも結構荒れている人が多かった気もする。ヤーさん風な人や急に喧嘩し始める人なんかをオーナーが出禁にしたりするのを何度も見た。今でもいるのだろうけど、相対的に数は減っている気がする。

行きつけのお店は一つだけ。そのオーナーには、いまだにずっと良くしてもらっている。色々あった。感慨深い。後に中高の同級生がゴールデン街で店をやっていることを知り、そこへも行くようにはなったが、ホームは一つ。

さて、若いとはいえ、さすがに毎週末、始発まで飲んで帰るのがしんどくなり、僕は徐々に”新宿”に近づいていく。

当時は中野区や三鷹市に住んでいたが、その後、歩いて帰れる距離の場所にと思い、西新宿五丁目駅最寄り(住所的にはギリ渋谷区)へ引っ越した。そこを皮切りに、北新宿2丁目、北新宿1丁目、西新宿2丁目と住まいを変え今に至る。歌舞伎町への距離はちょっとずつ近づいていった。ゴールデン街から徒歩圏内だと、終電は気にしなくて良いし、始発まで頑張る覚悟も要らない。とても居心地が良い。

僕にとっては東京=新宿となった。

新宿駅を中心に、北西方面から北北東方面の徒歩圏内は、ほとんどの場所を歩いたことがあるんじゃないかなぁ。代々木方面、南口の方はあんまり知らないけども。

もう12〜13年ほど新宿に住んでいる。新宿にこだわっていると、なんとなく新宿愛みたいなものが芽生えてくる。新宿であるというだけで、本来鬱陶しいと感じるはずのものも、そうでなくなる、みたいな。

街の雑踏も、昼夜を問わず頻繁に鳴り響くパトカーや救急車のサイレンの音も、言葉の通じづらいコンビニ店員も、笑顔で話しかけてくるしつこいキャッチのお兄さんや中国人のおばちゃんも(ついて行かないよ)。

いつまで新宿に住み続けるのだろうか?

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