匿名サービスと実名サービス

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昨今、SNSに代表されるように、実名や本人顔写真での利用を推奨するサービスが増えてきている。

実名での利用は、利用者それぞれに責任が発生し、それによって安心感を得られる。より健全なコミュニティが形成されるだろう。しかし、その反面、軽率な行動はできなくなり、利用への障壁は確実に高くなる。

インターネットにおけるコミュニティとは、本来、実社会とは離れた場所に存在し、あくまでバーチャルな世界だ。日常のしがらみに関係なく楽しめる場所であり、仮想空間でのもう一人の自分を楽しめる場所である。また、そうあるべきだとも考える。

もちろん、その気軽さゆえに、インターネットでのコミュニケーションによって様々な問題が生じているのは、これまでも言及してきた通りなのだが、しかし、そういう性質がなければ、ここまでインターネットが普及しなかったことは間違いない。

ネットでのコミュニティにまで、現実の面倒な人間関係を持ち込み、コミュニケーションを楽しむというのは、私からすれば、いささか奇妙な感じさえ受ける。用件ならば、電話やメール、メーリングリストなどを用いればよい話なのだから。

もっとも、完全クローズドなコミュニティであれば、違った楽しみ方もあるとは思う。わざわざ直接連絡を取るほどのこともない他愛も無い話であれば、特定の誰かに向けたコミュニケーションツールではなく、ネットでの掲示板など、共有のスペースに書き込むほうが気楽だし、身内に聞いてもらいたいちょっとした話なども、日記という媒体を通しての方がやりやすい。

しかし、それはオープンなコミュニティには不向きであるし、実名コミュニティの多くは、クローズドを目指しながらも、完全ではない。

また、それらのサービスの根幹である、その実名という基本理念においても、成功しているサービスもあまりないようだ。SNSの代表格であるmixiなども実名を推奨しているが、仮名での利用者の方が多いのではないだろうか。

それでも、実名で利用しているユーザーが存在するのは確かだが、個人情報に関するトラブルが多く発生している昨今、実名、本人顔写真を登録して利用するというのは、特に初心者ユーザーにとって、かなりのリスクを背負うことになる。

ある程度、ネットにおける個人情報の扱いに関する危険性を知っている者なら別だが、サイトの方針に何の疑いもなく素直に従ってしまったがため、思わぬトラブルに巻き込まれないとも限らないのだ。

実名推奨サイトを匿名で利用しろというのではないが、少なくとも、実名や顔写真を晒すことで、どのような危険があるのかを認識することは重要だ。

これは、利用者だけでなく、サービス提供側にも言えることである。そのような方針での運営において、どのようなリスクがあるかをしっかりと認識し、また、それを推奨するからには、ユーザーをどのように保護するかまで対策した上でサービスを提供する義務があるだろう。

「実名で利用してください。でも、個人情報に関連するトラブルは自分で責任を持ってください。」

それではあまりにも無責任だ。しかし、そういうスタンスのサービス提供者は多い。

実名利用というのは、ネット先進国韓国ではポピュラーなサービス形態ではあるが、韓国と日本には、国民番号の存在という決定的な違いがある。韓国でのそういったサービスの登録には、国民番号の登録が必須なことが多く、本当の意味での「安心」がある。うわべだけをまねして、まったく同じような軌跡を描いてサービスが発展していくとは到底思えない。

国民番号の登録なしに、実名サービスを普及させていくのは、かなりの困難が予想される。もう何年もしないうちに、ほとんどのサービスは淘汰されていくのではないだろうか。

今後、実名コミュニティはまだまだ出てくるだろうし、前述した障壁を乗り越えられさえすればさらに伸びてくる分野であろうが、根本的な問題を抱えたまま、安直にサービスを利用・提供するのは、大変危険だということを記しておきたい。

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